欧州:分割出願等に関する規則改正
2013年10月16日、欧州特許機構(European Patent Organization)の管理理事会(Administrative Council)は、分割出願及び調査段階で発明の単一性違反が認められた場合の手続きに関連した規則を改定することを決定いたしました。
分割出願について
2010年4月1日に施行された欧州特許条約(EPC)の施行規則改定により、分割出願が可能な時期について、出願が係属中であるということに加えて、最初の審査通知から24ヶ月などの制約が加えられました。
しかし、この度、上記の制約が撤廃され、上記施行規則改正以前と同じく、出願が係属中であれば分割出願可能ということにすべく再度、規則が改正されます。
分割出願に関する改正後の規則は、2014年4月1日に発効となります。この時点で係属中の欧州出願については、新たな規則が適用されます。従いまして、現行の規則で分割出願の期限を徒過してしまった案件でも、2014年4月1日まで係属していれば、分割出願できるということになります。
2010年に導入された分割出願に関する時期的制約は、本来、分割出願制度の濫用を抑制することを目的としていましたが、厳しい時期的制約が設けられたことにより、必要性の判断をすることなく保険的な目的で分割出願されるケースが増加するという結果を招いてしまいました。
そこで、2010年の改正以前のルールに戻すこととなったわけですが、一方で、分割出願の繰り返しを抑制するために、EPOは、子出願、孫出願と繰り返すに従って出願料金が増加するような新たな料金体系を検討しています。(具体的な料金は未だ公表されていません。)
EPO補充調査等において単一性要件違反が認められた場合の対応について
EPOが国際調査機関でないPCT出願が欧州段階に入った場合、全ての出願について、EPOは補充調査報告(supplementary European search)を発行します。現行の規則によれば、この補充調査において、出願が発明の単一性の要件を満たさないと判断された場合、最初に調査の対象となった発明に係るクレーム以外のクレームについては調査の対象外となります。ここで、出願人は、他の発明に係るクレームを調査の対象として選択したり、追加料金を支払って他の発明に係るクレームについて調査をさせるということはできませんでした。これに対して、直接の欧州出願については、調査段階でEPOが単一性の欠如を発見した際には、出願人は追加料金の支払いによる単一性の要件を満たさないと認められた複数の発明についての調査を受ける機会が与えられており、不公平であるという意見がありました。
そこで、今回の規則改訂においては、上記のようなPCT由来の欧州出願(2013年11月1日の時点で補充調査報告が発行されていないもの)についても、補充調査において単一性要件違反が認められた場合には、追加料金の支払いにより、複数の発明の調査を受ける機会が与えられることとなりました。
更には、EPOが国際調査機関であったPCT出願に由来する欧州出願については、補充調査は行われませんが、国際調査報告において単一性要件違反を指摘されたにも関わらず追加料金を支払わなかったために調査されたかったクレームについても、欧州段階の審査に際して、追加料金を支払うことにより調査を受けることが可能になりました。これは、2014年11月1日の時点で、最初の実体審査通知が発行されていない出願が対象となります。