外国特許出願について
自己の発明を特許権として、外国(どの国でもよいのですが、説明の便宜上、米国とします)で権利を独占したい場合、米国に居住する代理人(以下、「現地代理人」と称します)を通じて米国特許庁に特許出願をし、審査を受けることになります。
米国特許出願の審査は、日本語ではなく、英語を通して行われます。詳しく言えば、明細書は英文であり、審査官は英文で拒絶理由通知を発行し、出願人は英文で回答しなければなりません。
日本人にとって、明細書を英文で作成したり、拒絶理由通知に対する回答の指示を現地代理人に英語で送ったりすることは、必ずしも容易ではありません。そこで、英文明細書や英文指示書面を作成してくれる日本側の代理人に代行してもらうことが有用になります(以下、このような代行者を「国内代理人」と称します)。
もし国内代理人の特許実務能力、特に英文作成能力が低ければ、出願人は、国内代理人からの適切な助言を受けることができず、また、現地代理人にも適切な指示を送ることができません。このような場合、現地代理人がどんなに有能であっても、米国で特許が取得できる可能性は小さくなってしまいます。したがって、国内代理人には特に高い特許実務能力が要求されます。
また、出願人が要する費用の大部分は英文書類の作成費(国内代理人の費用、及び、現地代理人の費用)となります。たとえば拒絶理由通知に対する回答の指示を現地代理人に送る際に、現地代理人がそのまま米国特許庁に提出できるような英文の回答指示書面を国内代理人が作成することができれば、現地代理人自身が回答書を作成する手間を実質的に省き、現地代理人の費用(米国事務所の費用は特に高い傾向にあります)を大いに削減できることになります。したがって、国内代理人が特に高い特許実務能力を有していれば、出願人の費用の大幅な削減にもつながります。
井上&アソシエイツは、英文作成能力をはじめとする、国内代理人に要求される高度な実務能力を有しております。したがって、皆様が井上&アソシエイツをご利用になれば、米国で特許を取得できる可能性を高めるだけでなく、皆様の費用の大幅な削減にも寄与します。
なお、外国特許に関して、世界特許というものがあって、世界特許庁のような単一の組織の審査によって特許を受けることにより、世界中で特許権が行使できる、と思われている方もいらっしゃるようですが、これは正しくありません。世界特許というものは、ありません。
また、特許協力条約(PCT: Patent Cooperation Treaty)に基づく特許出願(以下、「国際出願」と称します)は世界特許を取得するための制度であると思われている方もいらっしゃるようですが、これは誤解です。国際出願は、単に、複数の国への特許出願を同時に行なうためのものに過ぎません。(国際出願(PCT)の概要については日本特許庁ウェブサイトのこちらの説明(PCT国際出願制度の概要)をご参照ください。)
国際出願により、日本語の明細書で、たとえば、米国、中国、及び韓国への特許出願を同時に行なうことができます。しかし、それぞれの国における審査はそれぞれの国の言語で行なわれるのであって、出願人は出願後に、明細書の英語、中国語及び韓国語翻訳文を、それぞれ米国、中国及び韓国の特許庁に提出しなければなりません。また、審査自体も、それぞれの国の特許法に基づいて独立して行なわれますので、或る国では特許が取れたが別の国では特許が取れなかったということもあり得ますし、また、仮にすべての出願国で特許が取れたとしても、特許権の範囲(その国で行使できる独占権の範囲)は国ごとに異なることもあり得ます。
国際出願(PCT)のより詳しい説明については、たとえば、当サイトのこちらの説明(PCT(1): 国際出願の概要国際出願の概要) 及び こちらの説明(PCT(6): 国際出願のメリットとデメリット)をご覧ください。
井上&アソシエイツは、高い特許実務能力を備えるとともに、各国の特許事務所と強固なネットワークを結んでおり、皆様の発明を世界各国でスムーズかつ確実に特許化することのできる体制を整えております。弊所のサービスについては当サイトのこちら(外国出願)の解説もご覧ください。
(2021-09-13)